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 北京の西山一帯にかごを担いでいる山の人がいるが、いわゆる山茶をそこで売っているのである。価格が安いので、村民は先を争うように買って飲む。その後北京の茶の店が低級の茶として扱うようになり、偽茶と呼ばれるようになった。山茶は北京西部の山中に産し、南に行くと徐々に少なくなる。山茶の原料は最初はハナズオウが主だった。若芽を摘んで太陽にさらし、蒸したりせずに売りに出した。山茶を飲むときは、砂袋を使って煎じなければならない。煎じれば煎じるほど味が濃くなる。冬に山茶を飲むと、いっそう趣きが深くなる。
 初期のハナズオウの芽の茶は評判は悪くなかった。販売量が増え、飲む人が多くなってくると、小さな葉や大きな芽を加え分量をごまかすようになったが、本来の味を損なうものではなかった。その後、さらに異物まで加えるようになった。が、山の人は夏の育った葉と秋が終わった後の小さな葉は摘まず、春の若芽だけを摘む。ハナズオウは茶の代わりにはなるが、毒も含まれており、うっかり肉と一緒に摂取すると、死んでしまう。西山の竜泉塢一帯に、アンズを多く産する。山の人は冬の末と春の初めに年を越したアンズを拾い、茶の代わりに淹れる。酸味は全くなく、すがすがしい香りが漂い、うっとりした気持ちになる。
 このアンズを拾うなら、雪で圧されたものでないといい味がしない。それゆえ「雪を踏んで梅を尋ねる」と言われるようになった。翁偶虹さんと1926年共に過ごした際、毎日茶にこれを入れて飲んでいた。翁さんも覚えているだろう。山茶に混ぜる異物としては「剪子股」草と「酸不溜」草、「ハチジョウナ」の三つがあり、他の樹木の葉を入れてはならない。その後都会の人が、本物の茶に山茶を混ぜて量をごまかすと金が儲かることに気づき、山茶を買うようになった。まさに玉石混淆だ。その後ナツメの若葉やヤナギの若葉を使用するケースも出てきたが、あぶってみると普通以上の味で、「高等偽茶」となった。
 この種の偽茶の製法は以下の通りだ。摘んだ芽と葉を洗って、太陽にさらし、乾かす。そしてせいろうに入れて蒸す。その後再び太陽にさらして乾かし、また蒸す。七回これを繰り返すと、芽も葉もすっかり柔らかくなり、触っただけでぼろぼろと崩れる。そうなるとむしろの上に置いて陰干しをし、手で揉んだ後、磁器の甕に入れて蒸らす。蒸らす期間が長ければ長いほど、茶の味は良くなる。こうやってナツメやヤナギの葉を用いて作った茶は、それぞれ等級があるのだが、「竜井緑茶」のようなもので、ジャスミン茶や普通の緑茶と飲み比べても、素人は違和感を感じない。まさに中等レベルの味だ。しかし、真に名誉を大切にする大きな茶の店なら、これをもって名誉を損なうようなことはしない。
 近年、西山の画眉山一帯の農民はハナズオウの山茶は冬にのみ適し、夏は竜井茶でほてりを消したほうが良いと考え、ナツメの芽を使用した「自家製竜井茶」を作った。「自家製緑茶」が売れてから、花で香りをつけたものも作った。剪子股と酸不溜、ハチジョウナなどを摘んで、あぶったのである。
 安物の偽茶には、ニレやチャンチンの若葉を使用したものもある。ニレの葉は特別なにおいはしないが、チャンチンの葉は臭みがあり、加工処理が必要だ。京西斎堂は西山で偽茶を製造している。チャンチンの若葉を摘んで、蒸したりさらしたりを六度か七度繰り返して臭みを取り除き、大量のウコンの汁をかける。その茶は色は濃い赤だが、ダイオウのような苦みがあり、一般の客に売っている。
 本物の茶に花の香りをつけるのは、花の産地である豊台地区で行っていた。偽茶はもとは広安門内で作っていたが、偽茶にも花の香りをつけなければならないということで、豊台地区で加工するようになった。