中国陝西省出身の作家賈平凹が、同省特産の陝青茶を絶賛しています。皆さんも試しに飲んでみられたらどうでしょう?6CD4DB4A-63C8-40E0-8D7F-1419BFE88B6042E69515-6505-4CD7-8DE3-F94E4E3D794BCB771DE6-FA56-4B35-83EF-93707F0631CF83718626-9025-4FE4-84EF-6F8213810A0D1E1B3A7E-7533-4822-9959-F059C07D457E
 …茶葉は箱に半分ほどしか入っておらず、葉は小さくて、白いうぶ毛が生えているようだった。最初はカビが生えているのかと思ったが、一杯淹れると、白い湯気がゆっくりと広がり、清らかな香りが漂ってきた。湯飲みを持ち上げて再び見ると、底では茶葉がゆったりと広がり、枝についているときのように生き生きしていた。こんな茶は見たことがない!とても口に合ったので、一気に飲み干した。再び湯を注ぎ、もう一度湯を注いだので、三度飲んだことになる。額にうっすら汗をかいたが、すがすがしい気持ちになり、口の中にはさわやかな後味がずっと残っていた。次の日、朝起きると一杯淹れ、正午にも一杯淹れた。葉は残り少なくなっていたが、欲望は抑えられず、日が暮れその幹事がまだ帰ってきていないときに、もう一杯淹れた。……
 ……それを聞いた人は「その茶は陝青に違いない。賈さんが行った県は陝青の産地の近くだし、県委員会の人だったら、陝青の高級品で新しいものも手に入るでしょう」と言った。そうして、私は「陝青」という茶が陝西省南部の特産であることを知ったのである。……
 ……しかし、高級品ではないにしても「陝青」なので、飲み続けていると、ほかの茶を飲む気がしなくなった。茶本来の色と味に目覚めたのである。以前飲んだことがあるジャスミン茶や胡茶はよくない茶質を別の風味でカバーしているものだ。甘粛や寧夏、青海でよく飲まれている八宝茶は、当地では茶を産しないので、古い茶にいろいろな工夫をして飲んでいるに過ぎない。それ以降、ジャスミン茶を口にすることはなくなった。白湯を飲むことはあっても八宝茶を飲むことはなくなった。服は質素で、食事は粗末であっても、茶だけは陝青を飲み続けた。生活レベルが低かったあの当時、貴族になった気分だった。
 作家になってからいろいろな地方に行けるようになり、様々な品種の茶を飲んだ。杭州で竜井茶を飲み、アモイで鉄観音茶を飲み、成都で峨眉茶を飲み、雲南に行ってプーアル茶を飲み、合肥で黄山茶を飲んだ。値段のとても高いのもあった。そういう茶葉を買い、家で飲んでも、なじめなかった。結局、私にとっては陝青茶が一番なのだ。実のところ、陝青茶は作り方がおおざっぱで茶葉の形状もあまりよくない。包装も質素なのだが、濃厚でコクのある味わいが、私の舌や胃腸によく合う。だから私は高く評価しているのかもしれない。……
 ……陝青茶を一杯淹れ、新鮮でいとしい茶葉を見ていると、どんなときでも春を味わっている気分になる。茶を飲み終わると、ドアに「ほかのプレゼントはいらない。茶をください」と書いた紙をよく貼っておく。しかし、茶をプレゼントしてくれる人は少なく、訪ねてくるのは私の茶を飲もうという人たちばかりだ。こういう時は、昼夜の別なく早馬でライチを南寧から長安まで持ってこさせたという唐時代の逸話を思い出すのだが、残念ながら私は楊貴妃ではないし、現在譚さんがどこにおられるかもわからない。